改めておさらいしたい、料理の「さしすせそ」 なぜ砂糖から?

2022.05.23 知識情報

改めておさらいしたい、料理の「さしすせそ」 なぜ砂糖から?

料理調味料順番

和食において調味料を入れる順番を指す「さしすせそ」。その順番、最初に砂糖を入れる理由についてご存じでしょうか。
なんとなく頭の片隅に入れていた方もこの機会に和食の基本について考えてみましょう。

「さしすせそ」の基本


「さ=砂糖」、「し=塩」、「す=酢」、「せ=醤油(せうゆ)」、「そ=味噌」
料理の「さしすせそ」とは、和食に欠かせない5つの調味料の頭文字をとった語呂合わせです。基本的な和食を作る際は、この順番で調味料を入れていくといいとされています。
和食を作る際に調味料を入れる順番に迷ったら、この「さしすせそ」を思い出しましょう。


なぜ砂糖が最初なの?


5つの調味料のうち最初に入れるのは、料理に甘みを加える砂糖です。
最初に入れる理由は、砂糖の性質にあります。砂糖(ショ糖)の分子は塩(塩化ナトリウム)よりも大きく、食材に浸透しにくいという性質を持っています。
塩を含む食塩や醤油よりも先に入れることで、食材にじっくりと砂糖をしみ込ませることができるのです。


反対に塩を先に入れると、分子の小さな塩は食材の隅々まで行きわたります。その後に分子の大きな砂糖を入れても、食材になじみにくくなってしまうのです。
また塩は食品中の水分を引き出して組織を引き締める力が強いため、食材が固くなり、後から加えた砂糖が浸透しにくくなるという特徴もあります。

料理のさしすせそ_砂糖&塩分子.jpg

ただし、これらは煮物など食材にしっかりと味をしみ込ませたい場合の順番です。
食材に下味をつけるために塩を振る、魚の臭み消しで酢を使うなど下ごしらえのための調味料を優先することもありますし、照り焼きなどのように内部まで味をしみこませる必要がないものは合わせ調味料を使うのが便利です。

そのような場合は、食材や料理に合わせて臨機応変に「さしすせそ」の順番を入れ替えてくださいね。


砂糖のいろいろな働き


砂糖といえば一番の働きは甘みを加えることですが、実は砂糖には甘みをつける以外にも料理をおいしくするさまざまな働きがあります。

過去にコラム「すし飯がずっとしっとり でんぷんの老化を防ぐ砂糖の力」でご紹介したように、保水性が強く水分を抱え込む性質を持つ砂糖は、ご飯のパサつきを抑えてすし飯をしっとりとおいしく保つ働きを持っています。

また、卵や肉などのタンパク質食材を柔らかく仕上げるのも砂糖の性質によるものです。
砂糖を使うことで、口当たりのいい柔らかいお菓子や料理に仕上げることができます。砂糖がタンパク質に与える影響は、コラム「プリンはかため?やわらかめ? タンパク質の「熱凝固性」を左右する砂糖」をご覧くださいね。

「甘さを控えたいから」という理由で砂糖の量をぐっと減らすと、食感や仕上がりに違いが出てきてしまうこともあります。
味だけでなく、料理の大切な役割を担っているのが砂糖なのです。



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