「甘いものは好きだけど、虫歯が心配」という声はよく聞かれます。
甘いものは虫歯の原因と考えられ、子供のころに「おやつばかり食べていると虫歯になるよ」としかられた経験がある人もいるのではないでしょうか。
「虫歯」ができるしくみ
まずは、虫歯ができるしくみについてお話します。
①食べものを食べると、口の中にいる、虫歯の原因になる細菌(以下「虫歯菌」)が食べものの中のショ糖(砂糖の成分)をブドウ糖と果糖に分解します。
②虫歯菌は、ブドウ糖から「グルカン」というネバネバした物質を作ります。グルカンは歯に強固に付着して、歯垢を形成します。
③虫歯菌が歯垢の中にすみつき、新たなショ糖を分解します。そして、ブドウ糖から新たにグルカンを作って歯垢を大きくしたり、ブドウ糖と果糖を取り込んで代謝し、乳酸などの酸を出したりします。
※糖は必ずしも分解されてから取り込まれるわけではなく、そのまま虫歯菌に取り込まれ、その後分解されて酸が出る場合もあります。
④酸が長く歯に滞留すると、歯の硬組織の主成分である「ハイドロキシアパタイト」を溶かしてしまいます。この状態が「虫歯」で、専門用語では「う蝕(うしょく)」と言います。
虫歯菌は、①の時も③と同様に果糖を取り込んで酸を出していますが、歯垢がない状態では虫歯菌はすみかがなく、酸は唾液で流れるため、う蝕しにくいのです。
ですから、虫歯菌のすみかとなる歯垢の形成が、う蝕の大きなきっかけと言えます。
う蝕には段階があり、最初は歯の表面の構造で、98%が硬組織の「エナメル質」が欠けるだけですが、さらに進むとエナメル質の内側の「象牙質」に達し、歯の神経である「歯髄」を刺激すると痛みを感じるようになります。
では、なぜこのように虫歯ができるのでしょうか。次回は、「砂糖と虫歯の関係~後編~」のコラムで、虫歯の原因や、おやつと虫歯の関係についてお話しします。
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