いろいろな糖カエデカナダメープルシロップ世界のめずらしい砂糖
メープルシロップの個性豊かな風味
メープルシロップは砂糖と同じショ糖を主成分としており、砂糖に比べてカルシウム等のミネラルが豊富に含まれます。
独特の香りと風味が特徴で、日本ではご自宅で焼きたてのホットケーキにメープルシロップをかけて食べるほか、市販のお菓子にも使われているので手軽に味わうことができます。
身近な食品であるメープルシロップを作る工程と、世界の総生産量の75%以上を占めるカナダのケベック州における、生産地ならではの楽しみ方をご紹介します。
極寒の冬を越すエネルギー
初めてメープルシロップを作ったのは北アメリカに住むインディアンで、カエデの樹液を熱した石で煮つめて作っていたそうです。
毎年3月頃、カナダのケベック州ではカエデの原生林で樹液を集め、煮つめてメープルシロップを作ります。
春を告げるメープルシロップ作り
3月に昼間の気温が2~3℃まで上がると雪が溶け、カエデの樹は芽を出すために、根から吸い上げた雪どけ水と糖分の多い樹液を枝の先まで送ります。その途中、樹液は幹に空いた穴からホースで採取され、シュガーシャック(砂糖小屋)に集められます。
ここで樹液は昼夜を通して煮つめられ、鮮度が良くつややかで琥珀色のメープルシロップになります。
カエデの樹から樹液が採れるのは1年のうち春の5週間ほど。
1本から採れる樹液の量は約20~60Lですが、メープルシロップを1Lつくるには40Lの樹液が必要となり、貴重な自然の恵みであることがうかがえます。
年に1度、メープルシロップで春の訪れを祝う
ケベック州は、1600年代に移民が初めて拠点を築いた場所で、「カナダ始まりの地」とも呼ばれます。
その地に住む人々はカエデの原生林と共に暮らし、自然との調和、共生を大切に考えています。
現在もメープルシロップを収穫する冬が終わる時期に、家族や友人と春の訪れを祝う、「シュガーリング・オフ」というパーティが開催されます。
お気に入りのシュガーシャックで買った、できたてのメープルシロップをベイクドビーンズや肉料理に使ったり、ホットケーキやワッフルにかけたりして味わいながら団らんのひと時を過ごします。
また、できたてのメープルシロップを雪の上にたらして、やわらかく固まったメープルタフィ(柔らかいキャンディ)を味わう楽しみ方もあります。開拓時代から続く、素朴だけれども心豊かな農家の方々の暮らしに思いを馳せることができます。
皆さんも、メープルシロップの味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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