砂糖の原料がサトウキビとテンサイということは、「砂糖は何からできている?」のコラムでお話ししました。
今回は、サトウキビがどんな植物なのか、よりくわしく紹介していきます。
とても丈夫なサトウキビ
サトウキビはイネ科サトウキビ属の植物です。同じイネ科の仲間といえば、イネのほか、ムギやトウモロコシ、ススキなどがあります。茎に節があり、そこから細長い葉が生えるところなど、なんとなく共通点が浮かぶ方もいるでしょうか。
サトウキビは温暖な気候のもとでよく育つため、日本では沖縄県や鹿児島県の南西諸島で主に生産されています。この地域は台風や水不足といった災害が少なくないのですが、サトウキビはとても丈夫。
強風で倒れても起き上がり、また水不足にも比較的強いため、自然環境が厳しいこの地域の生活を支える作物として欠かせないものになっています。
サトウキビの収穫まで
サトウキビを収穫するまでは、栽培方法や品種、天候などにもよりますが、およそ1年~1年半かかります。
ほかのイネ科の植物と同様に、サトウキビも秋になると穂がつきます。サトウキビというと夏の青々とした姿を思い浮かべる人がほとんどでしょうから、その姿は意外なものかもしれませんね。
ちなみに、イネやススキのようにこうべを垂れることなく、直立したまま穂がつきます。
穂がついたサトウキビは成長がゆるやかになり、糖分を蓄えて収穫を迎えます。日本では1月~3月がその最盛期。
この時期、産地では収穫されたサトウキビがトラックいっぱいに積まれて運ばれる光景があちらこちらで見られます。
収穫したサトウキビがすぐに工場へ運ばれるのは、「『お砂糖』の作り方」のコラムでご説明の通りです。サトウキビ1本の重さはおよそ1㎏で、サトウキビ1本からとれる砂糖は約120g*。みなさんがスーパーで見かける1㎏入りの上白糖は、約8本のサトウキビからできあがります。
*南西諸島でとれる標準的なサトウキビ。
捨てるところなし!のエコ素材
サトウキビをしぼった後のしぼりかすが、そのまま捨てられるのではなく副産物として活用されていることはご存じでしたか?
このしぼりかすは「バガス」と呼ばれ、燃料として燃やされ製糖工場の熱源や動力源になっているほか、畑の肥料や牛の敷料(牛舎に敷くもの)としても利用されています。
また、食物繊維が豊富な点を生かして食品に利用する取り組みや、バガスを使った糸で作ったアパレル商品なども注目を浴びているようです。
自然の恵みをあますことなく利用できるサトウキビは、エコな素材として今後一層注目されそうですね。
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