いろいろな糖オリゴ糖ビフィズス菌乳糖果糖オリゴ糖腸内フローラ
乳糖果糖オリゴ糖がどんなものかをご紹介するシリーズの3回目。今回は「乳糖果糖オリゴ糖が大腸内のビフィズス菌を増やすこと」をヒト試験もまじえてご紹介いたします。
ヒトの大腸内は、腸の壁面にさまざまな種類の細菌がそれぞれ集まって草むらのように、腸内フローラとも呼ばれる細菌叢(さいきんそう)を作っています。
腸内には1,000種、100兆個とも言われるほどたくさんの細菌がいます。
それらの細菌はそれぞれが必要とする栄養を摂り、代謝物を出して生きています。そしてそれらの代謝物がヒトの健康に大きな影響をおよぼすのです。
短鎖脂肪酸を出すビフィズス菌のように良い影響をおよぼす細菌もいれば、ウェルシュ菌のように体調を悪くする細菌、日和見菌と言われる善悪どちらにもなりえる細菌もいます。
それらの細菌の中でビフィズス菌は、乳糖果糖オリゴ糖によって増えることがヒト試験によって分かっています。
乳糖果糖オリゴ糖を食べて、腸内菌叢の変化の様子を調べた試験をご紹介します。
期間を1週間ごとに区切って、乳糖果糖オリゴ糖の摂取量を増やしたり減らしたり変化させて、ビフィズス菌の占有率がどう変わるかを調べました。
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【試験詳細】
健康な男性8名に乳糖果糖オリゴ糖1g/日を1週間、次いで2g/日を1週間摂取、その後、非摂取を2週間、さらに今度は3g/日を1週間摂取してもらいました。
その結果、ビフィズス菌の占有率は、乳糖果糖オリゴ糖摂取前の17.8%が、1g/日1週間の摂取で38.7%、2g/日1週間の摂取で45.9%と上昇しましたが、摂取中止後2週間で18.2%と摂取前のレベルに戻り、3g/日1週間の摂取では再び43.9%に増加しました。
さらに、糞便を分析したところ乳糖果糖オリゴ糖の摂取によってヒトの健康に有害とされるインドールやスカトールなどの腐敗産物、およびアンモニアや硫化物などの悪臭物質も減少しました。
これらの結果から乳糖果糖オリゴ糖は、1日当たり1~3gの摂取で腸内細菌叢の改善効果を示すことが明らかとなりました。
(緒方幸代ら (1993)日本栄養・食料学会誌、46:317.323.)
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乳糖果糖オリゴ糖の摂取でビフィズス菌が増加し、摂取の中止でビフィズス菌が減少して元の水準に戻ってしまうことが上記の試験結果に出ています。
ビフィズス菌は乳糖果糖オリゴ糖を食べて大腸内で仲間を増やしているのです。
ヒトにとって有益なビフィズス菌が増えることで代謝物の「短鎖脂肪酸」が大腸内に増えて、悪玉菌が減り、また蠕動(ぜんどう)運動が活発になって、おなかの調子が整っていきます。
さらに、カルシウムなどミネラルの吸収促進や、アレルギー症状の緩和なども起こります。
それらについてもヒト試験が行われていますので、次回以降、順次ご紹介いたします。
今回は「乳糖果糖オリゴ糖ってどんなもの?」シリーズの3回目、「乳糖果糖オリゴ糖で大腸内のビフィズス菌が増える」ことについてご紹介いたしました。
次回はビフィズス菌が増えて便通が改善したヒト試験をご紹介いたします。次回も見てくださいね。
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