糖アルコールとは加工食品によく使われている、ソルビトールやエリスリトール、還元水飴などの糖を総称した呼び名です。
海藻類やリンゴなどに含まれているものもあり、自然界にも存在しますが、主に食品に使われるのはブドウ糖などの糖を加工して作られます。
糖アルコールは一般的に、砂糖に比べて保水性がより高く、着色性は弱く、また糖ですが虫歯になりにくく、カロリーが低いのが特徴です。
それぞれの糖アルコールで特徴は細かく違いますので、現在、最も多く使われているソルビトールで作り方や性質などをご説明します。
ソルビトールは、ブドウ糖分子に水素分子(H2)を加えて、さまざまな反応の起点となる還元基(-CHO)を、水酸基(CH-OH)を持つ構造に変えています。
このことで、ブドウ糖とは違った性質を持つようになります。
メイラード反応もカラメル化も起こりにくくなるため、加熱しても色が付きにくくなります。また虫歯の原因菌に使われにくく、ヒトも小腸で消化吸収しにくいためカロリーも低めになります。
水分や香りを保つ性質に優れ、爽やかな甘さをしています。
このような特性から、甘味度は砂糖(ショ糖)に比べ6割程度ですが、漬物や佃煮、菓子などに食品添加物として広く使われています。
さらに、医薬品にも使われます。
(ソルビトールが含まれるナナカマドの実)
糖アルコールはいろいろな糖を還元(※)することで、さまざまなものが作られています。
※還元は、酸化している物質から酸素分子が取れて元に戻る反応や、物質が水素を化合する反応、あるいは物質が電子を受け取る反応です。
それぞれの原料と甘味度などをまとめました。
原 料 | 甘味度(ショ糖比較) | カロリー | |
---|---|---|---|
ソルビトール | ブドウ糖 | 60~70% | 3 kcal/g |
還元水飴 | 水飴 | 10~60% | 2 kcal/g |
マルチトール | 麦芽糖 | 70~80% | 2 kcal/g |
エリスリトール | ブドウ糖 | 75% | 0 kcal/g |
還元パラチノース | パラチノース | 45~60% | 2 kcal/g |
キシリトール | キシロース | 100% | 3 kcal/g |
(エリスリトールは還元反応ではなく、酵母による発酵で作られます)
今回は多くの加工食品に使われている糖アルコールを、ソルビトールを中心にご説明いたしました。
砂糖にも甘み以外に保水性や温度による形状の変化、保存性の向上など食品を美味しくするはたらきがありますが、糖アルコールはそれら機能性が強化された甘味料/食品添加物といえそうですね。
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