甘さは食べるときの温度で変わります

2024.05.20 知識情報

甘さは食べるときの温度で変わります

さまざまな糖果糖糖の性質

冷蔵庫から出して冷えたブドウが食べていくうちに甘味が減ったように感じたり、逆に温度が上がってアイスが溶けると甘さが増したり、食べるときの温度によって感じる甘さが変わることがあります。
今回は温度と甘さの関係をご紹介します。



温度で甘さが変わって感じるのは2つの要因によってです


一つは、そもそもある種の糖は温度によって化学的構造が変わり、甘みが大きく増えたり減ったりします。そのような糖に果糖があります。


そしてもう一つは、糖自体は変わらず、食べる人の方が温度によって甘味を感じやすかったり、感じにくかったりするために違いが生まれてくるものです。


それぞれ詳しく見ていきましょう。



その1 温度によって分子構造が変わる糖、果糖


果糖は温度変化によって糖の化学的構造が変化します。

低温になると最も甘味が強い六員環構造(ロクインカンコウゾウ)(6つの原子が環状でつながって構成されている)になり、温度があがるとより甘味の少ない五員環構造(5つの原子が環状でつながって構成されている)に変換されます。


このことで、たとえば冷蔵庫内で5℃に冷やされたとき果糖は砂糖(ショ糖)に比べ甘味度が約1.5倍になりますが、同じ果糖が料理などで加熱され60℃になると、今度は砂糖(ショ糖)の約0.8倍の甘味度に落ちてしまうのです。


食べるときの温度で甘さは変わります_挿入画像1_果糖が温度の上昇に伴い甘味度が下がっているグラフ



その2 甘さを感じやすい温度帯、それは常温


口の中には、舌を中心に「味蕾(みらい)」という、味を感知する器官があり、この味蕾にある「味細胞」という細胞で食べ物の味の分子をキャッチし、情報が脳に伝達されます。


脳には、味覚だけでなく嗅覚や食感などの触覚による情報も伝達され、それぞれが脳を刺激することで味を認識します。


この時、温度によって脳が味を認識するのに差がでます。

温度による感じ方の差は個人差が大きいと言われていますが、一般的に「甘味は体温より少し低い温度から体温近辺のとき」に強く感じます。


これは口の中の味細胞自体の活動と、受け取った情報の脳への伝達が温度による影響を受けること、そして脳内で嗅覚など他の情報と総合して味の認識がされるときに、常温から外れた温度情報が入ることで、甘味の認識が弱まることの結果だと考えられます。


ちなみに、他の味覚では塩味と苦味は低い温度で強く感じ、旨味は甘味と同じように常温で強く感じると言われています。


食べるときの温度で甘さは変わります_挿入画像2_ショートケーキの画像


今回は温度と甘さの関係をご紹介しました。


果糖が多く含まれる果物などは冷やして、一方、ショートケーキなど砂糖が使われているお菓子は常温近くで召し上がると、甘さが増して感じられ、美味しいと思われます。参考にしてくださいね。


また、果糖について少し詳しくご説明した記事も作りました。冷やすと甘くなる果物、甘さが変わらない果物などもご紹介しています。下のリンクから見てみてくださいね。



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