お菓子や料理、飲み物に入れられる砂糖。じつは結構多くの量が水に溶けます。100gの水に倍の量、200gの砂糖が溶けてしまいます(20℃のとき)。今回はそんな砂糖の溶けやすさをご紹介します。
砂糖は温度によって溶ける量が大きく変わります。表にしてみました。
『100gの水に溶ける砂糖(ショ糖)の量』
温 度 | 溶ける砂糖の量(溶解度) |
---|---|
10℃ | 180g |
20℃ | 200g |
30℃ | 215g |
60℃ | 289g |
90℃ | 420g |
100℃ | 476g |
(『砂糖の事典』より)
もともと砂糖は水にたくさん溶けますが、温度が高くなるにつれて溶ける量も増えます。水が沸騰する手前の90℃では、20℃の時に比べて倍以上の量の砂糖が溶けます。
90℃のときで言うとコップ半分100mL(100g)の水にグラニュ糖で大さじ約32杯分!(420g)、市販されている1kg入り砂糖の半分近くが溶けてしまいます。
それぐらい砂糖は水と相性がよくて、水になじみ、たくさん溶けます。
砂糖(グラニュ糖)の粒は、ショ糖の分子が規則正しく並んでいる、結晶と言われる状態となっています。
これが水と一緒になると、並んだ状態の分子がバラバラになり、目に見えない大きさのショ糖分子ごとになり、水の分子の中に混ざっていきます。
このときショ糖の分子は、水の分子と水素結合といわれる、ゆるい結合をする性質をもっているため、ショ糖と水が分離せずに、均一に混じった状態を保つのです。
ちなみに、砂糖に比べ溶ける量が少ないことからよく比較に出される「塩」も、じつは水と親和性が高く溶けやすい物質です。
しかし分子の大きさが小さく、分子一つひとつの重量が軽いため、水に溶ける分子の数は砂糖とほぼ一緒なのですが、溶けるg数で比較すると大幅に少なくなります。
20℃のとき塩が溶ける重量は砂糖の約1/8の約26gです。
温度が上がることで溶ける量が増えることをご紹介しましたが、この性質をつかって作られるお菓子があります。
エクレアです。上掛けのチョコレートに混ぜるフォンダンがこの性質を使って作られています。
具体的には、高めの温度で多めの砂糖を溶かし、その後に温度を下げることで溶けていた砂糖を再度結晶させます。このとき、微小な結晶が多数できることで、ツヤのある滑らかな上掛けができるのです。
以前のコラム「砂糖の再結晶を活かしたお菓子作り」で砂糖の再結晶について説明しています。よろしければ下のリンクから見てくださいね。
今回は砂糖が水にたくさん溶ける性質をご説明しました。
食品の保存性を高めるなど、砂糖にはただ甘いだけではない、さまざまな特性があります。気になるトピックスがありましたら下のバナーからぜひ見てみてくださいね。
【参考文献・資料】
・『砂糖の事典』日高秀昌 他 編(東京堂出版)
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