今回は食べた砂糖が身体を動かすエネルギーになる仕組みを、ちょっとだけ科学的に説明致します。砂糖がブドウ糖となって身体をめぐり、細胞内でエネルギーの元をつくるのに使われています。
サトウキビやテンサイの搾り汁から取り出されるショ糖成分です。
サトウキビやテンサイは自分自身や子孫の栄養となるブドウ糖を光合成によって作り出します。そしてそのブドウ糖の一部を果糖に変え、ブドウ糖と果糖を1つずつ結合させたショ糖にすることで糖として安定させ、茎や根に蓄えます。
その蓄えているショ糖成分を結晶にして取り出したものが砂糖(ショ糖)です。
2つの糖がつながった砂糖(ショ糖)は、食べると小腸で分解されて、ブドウ糖と果糖に分かれ、それぞれ吸収されます。
吸収された後、果糖も肝臓でブドウ糖に変わり、ブドウ糖が血管によって全身をめぐります。
血管内に入ったブドウ糖は必要に応じて全身の細胞に取り込まれて、そこで細胞活動のエネルギーとして使われます。
※使われないブドウ糖は後で使えるように筋肉や肝臓でグリコーゲンとなって蓄えられ、また、脂肪としても蓄えられます。
それでは、ブドウ糖はどのようにエネルギーになるのでしょうか。
生き物は筋肉の収縮やタンパク質などの生体物質の合成など、生命を維持するためにエネルギーを必要とします。
それらのエネルギーに、ほぼすべての生き物は細胞内で「ATP」といわれる物質から出るエネルギーを使っています。
「ATP」とはアデノシン三リン酸のことで、アデノシンという物質にリン酸が3つ結合してできています。この3つのリン酸の内1つが離れて、「ADP(アデノシン二リン酸)とリン酸」に分解される時に高いエネルギーが発生します。
ヒトは1日に体重に近い量の「ATP」を分解しエネルギーを取り出していると言われています。そして分解して「ADPとリン酸」になると、すぐに再合成がおこり「ATP」がまた生成されます。
この再合成にブドウ糖が係わっているのです。
大きく3つの工程があります。「解糖系」「クエン酸回路」「呼吸鎖」です。
「解糖系」
ブドウ糖をいくつかの過程を経てピルビン酸まで変えていく化学反応です。この過程で少量のATPや乳酸、水素などもできます。
「クエン酸回路(TCA回路ともいう)」
解糖系でできたピルビン酸がアセチルCoAになった後、この回路に入り、酸素を使って行われる化学反応です。反応が進む中で少量のATPと大量の水素、そして二酸化炭素ができます。
「呼吸鎖(電子伝達系ともいう)」
解糖系とクエン酸回路によってできた水素を使って、大量のATPが生成(再合成)される反応です。
※この説明は簡略化しています。それぞれの反応にはいくつもの過程があり、反応には他にさまざまな物質も必要です。
この3つの反応でブドウ糖はエネルギーとなって、細胞の活動に使われています。
サトウキビやテンサイは太陽の光と水と二酸化炭素から作ったブドウ糖をショ糖にして蓄えます。そのショ糖をヒトが取り出し食べて、ブドウ糖に戻し身体のエネルギーにしているのです。
もちろん、砂糖からのブドウ糖だけが身体のエネルギーになるわけではなく、お米やパンなどデンプンでできている食品もブドウ糖となって吸収されて同じようにエネルギーになります。
また、脂質もATPの再合成に使われますし、タンパク質も糖質や脂質の摂取が少ない場合はATPの再合成に使われます。
今回は砂糖がブドウ糖となって身体のエネルギーになる仕組みをご紹介しました。
健康的な毎日のために、たんぱく質、脂質、糖質のバランスのいい食生活をしていきたいですね。
※ショ糖は砂糖の主成分で、グラニュ糖ではショ糖成分が99.9%を占めています。
【関連記事】