レシピに「砂糖:大さじ1」と書いてあったら、どちらを使いますか?料理レシピでは一般的に上白糖のことを、お菓子レシピではグラニュ糖を指すことが多いですが、今回はそれぞれの特徴から出来上がりの違いをご説明します。
「大さじ」内に入る量も違います。
作り方をとても簡単に説明すると、まず原料のサトウキビやテンサイの搾り汁を丁寧にろ過して不純物を取り除きます。その液を加熱濃縮して、中からショ糖成分を結晶させて取り出します。
その結晶を乾燥させたものがグラニュ糖です。
また、取り出したショ糖の結晶をブドウ糖と果糖を成分とした糖液でコーティングをすることで、しっとりとした上白糖になります。
※ 詳しい作り方は文末のリンクから見てくださいね。まず農地近くで、粗く精製した原料糖にするなどイラスト付きで解説しています。
グラニュ糖はショ糖成分がほぼ100%ですから(正確には99.9%)甘みにクセがなく、後味すっきりのストレートな甘さです。
一方、上白糖はごく微量ながらもブドウ糖など数種類の糖が含まれることで、複数の糖の風味が混ざり合いバラエティに富んだコクのある、少し後を引く甘みになっています。
「味」
上白糖を使うレシピでグラニュ糖を使うと、グラニュ糖は甘さがすっきりしていますので、他の材料の風味に影響を与えず甘みを加えられますが、コクが少ない分、特に煮物など濃い味付けの料理の場合、同じ分量でも甘さがもの足りないと感じます。
逆に、お菓子などグラニュ糖を使うレシピで上白糖を使うと、他の素材の味より、上白糖のコクのある、後を引く甘みが前に出てきて甘みが少し強く感じます。
「焼き色」 : 上白糖 > グラニュ糖
上白糖はグラニュ糖に比べ、加熱による焼き色がつきやすいです。
もともと砂糖とタンパク質を一緒に加熱すると、メイラード反応により褐色に色が付きますが、上白糖にはこの反応が出やすいブドウ糖や果糖が多く含まれ、より着色しやすい性質があります。
「しっとり感」 : 上白糖 > グラニュ糖
砂糖の特筆すべき性質として水になじむ性質、保水性があります。
砂糖が水と結びついて水分を逃がしにくくすることで、スポンジケーキやカステラのやわらかさを保ったり、ジャムのぷるぷる感をつくり出したりしています。
その保水力はぶどう糖や果糖の方がショ糖より若干強いため、上白糖の方がよりしっとりとした仕上がりになります。
最後に気を付けなければいけないのは、レシピが「大さじ」など計量スプーンで書いてある場合、上白糖とグラニュ糖では中に入るグラム数が大きく違います。
大さじ1は「上白糖で9g」、「グラニュ糖で13g」です。
違いがでる理由は、小さな結晶が集まってできている砂糖は結晶と結晶の間に空間があり、「大さじ」内にみっちり詰まっているようでも、じつは結晶間に空気が含まれているためです。
上白糖はふんわりしていて結晶間に含まれる空気が多いため、グラニュ糖に比べ同じ「大さじ」内に入る砂糖の量が少なくなります。
「砂糖(上白糖):大さじ1」をグラニュ糖に変える場合は、「大さじ:約2/3」にするか、大さじの1/3の容量である小さじを使って「小さじ:2」にするとほぼ同じグラム数になります。
今回は料理、お菓子作りに上白糖、グラニュ糖を使った時の違いをご紹介しました。
作る料理やお菓子の出来上がりをイメージしてそれぞれ使い分けてみて下さいね。
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