甘く煮込んだしっとり食感のりんごと、サクサク食感のパイ生地が楽しめるアップルパイ。アイスクリームを添えて食べてもおいしい、今回はアップルパイのお話です。
アップルパイとは
アップルパイは小麦粉やバター、卵などを合わせて作ったパイ生地の中に砂糖で煮たりんごを詰めてオーブンで焼いた洋菓子です。
世界中で愛されているお菓子ですが、それぞれの国によって形は様々です。たとえば、日本でよく見かけるパイ生地の中にりんごが詰められたタイプはアメリカで誕生しました。
イギリスでは生地をりんごの上にかぶせただけで焼かれたものもあり、オーストリアではアプフェルシュトゥルーデルとよばれる、薄く伸ばした生地でりんごを巻いて作られたアップルパイもあります。
(アプフェルシュトゥルーデル)
アメリカの家庭料理 アップルパイ
日本で家庭料理といえば肉じゃがなどを思い浮かべますが、アメリカではアップルパイが各家庭独自の味となっているそうです。
「アップルパイと同じくらいアメリカっぽい(as American as Apple pie)」といった表現があったり、5月13日が「アップルパイの日(National Apple pie Day)」と定めされていたりして、アメリカ人にとってアップルパイが特別身近な存在なのが分かります。
童謡にも登場 ~アルファベットをアップルパイで覚えよう~
イギリスで子供のために作られた伝承童謡集マザーグースに、アップルパイを題材とした曲、「A was an apple-pie」もあります。
AからZまでのアルファベットを覚えやすいように、Aであれば「APPLE PIE (アップルパイ)」、Bであれば「BITE(かじる)」、Cは「CUT IT(切る)」と、アップルパイに関連する語句をもとにアルファベットが順に歌になっています。
親から子へ、子から孫へと伝えられてきた童謡にもなるアップルパイは、イギリスでも幅広い世代で人気があることが分かりますね。
キャラメリゼしたりんごが主役 タルトタタン
アップルパイの一種であるタルトタタンは、りんごをバターと砂糖で煮て、生地をかぶせて焼いた後にひっくり返して盛り付けられるフランス発祥の洋菓子です。
つややかな飴色のりんごが特徴のタルトタタン、これは加熱温度によって状態が変化する、砂糖の特性を利用しています。
砂糖は加熱することでシロップ、キャラメル、アメ、カラメルなどに変化していきます。砂糖自体が加熱により変化しているため、冷やしても元の状態に戻ることなく、飴色に輝くりんごを保持できるのです。
(加熱温度で変わる砂糖の状態につきましては過去のコラム 「温度で変わる砂糖」も参考にしてくださいね)
今回はアップルパイのお話をしました。ぜひお気に入りのアップルパイを見つけて、召し上がってみてはいかがでしょうか。
【参考文献・資料】
『お菓子の由来物語』 猫井 登 著(幻冬舎)
『歴史をつくった洋菓子たち』 長尾 健二 著(築地書館)
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