結婚式で注目を浴びるウエディングケーキのはじまりをご存知でしょうか?今回はウエディングケーキのお話です。
ウエディングケーキの起源
ウエディングケーキのもととなった食べ物は諸説ありますが、パンを花嫁の頭上で割る古代ローマの風習や、穀物を新婚夫婦の頭上にふりかける中世イギリスの風習がもとになったといわれています。
中世以降、結婚の祝宴でケーキは出されてきましたが、ウエディングケーキとして特別に作られたものではなく、果物の皮を砂糖漬けにしたフルーツケーキなどでした。
わたしたちがイメージする純白のウエディングケーキは19世紀になって、やっと登場します。
ウエディングケーキの登場
1840年ヴィクトリア女王の結婚式で今につながる純白のウエディングケーキが登場します。外周2.7メートル、重さ136キロもある大きな円形のケーキでした。砂糖と卵白で作ったロイヤルアイシングがほどこされ、上面には砂糖で作られた人形や愛犬が飾られて美しく装飾されていました。
豪華絢爛、三段のウエディングケーキ
一段だったウエディングケーキがさらに豪華になったのが1858年ヴィクトリア女王のその娘、第一王女のために作られたウエディングケーキです。
三段に積み上げられており、高さはなんと2.1メートルもありました。
一番下が食べられるケーキの部分で、上の二段は壮麗な建築物のようで、頂上に王冠が載り、柱や台座、壁面には彫刻が施されていました。そしてそれらの飾りは全て砂糖でできている純白のウエディングケーキでした。
その後も王室の結婚式では豪華なウエディングケーキが登場し、圧倒的な存在感で結婚式の華やかさを象徴するものになっていきますが、これがその始まりでした。
また当時、新聞にイラストで掲載されたウエディングケーキに多くの人々は魅了されます。
ちょうどその頃、砂糖製造において不純物を除く技術が確立し始め、純度の高い、より透明な砂糖の製造ができるようになった時期でもありました。
そのこともあって、非常に高価ではありましたが、純白で、かつ華やかなウエディングケーキが大衆にも人気となり、広まっていったのでした。
シュガークラフトでより華やかに
ウエディングケーキとしてはヴィクトリア女王の結婚式で初めてシュガークラフト(砂糖工芸)の技法が使われました。
19世紀から20世紀前半までは、ロイヤルアイシングを重ねて作られていましたが、その後、砂糖と卵白に増粘剤を加えたシュガーペーストが開発されると、粘土状であつかいやすいため、花やフリル、刺繍模様などいろいろな細かい表現ができるようになり、発展していきました。
純白のシュガークラフトをかざり付けることで純白のウエディングケーキがさらに美しく特別な存在になっていったのです。
今回は結婚という華やかな場を一層盛り上げるウエディングケーキのはじまりのお話しでした。
召し上がる機会がありましたら、はじまりの英国王室の紳士淑女のおももちで上品に楽しんでみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
『ケーキの歴史物語』ニコラ・ハンブル 著 堤理華 訳
『英国の伝統工芸菓子 シュガークラフトの魅力』農畜産業振興機構
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002773.html
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