現在、市販されている加工食品には原材料のうち1番使用量の多いものに原産地が表示されていることはご存知ですか?
今回は少し特殊な表示となっている、砂糖の原料原産地表示についてご説明いたします。
まずは基本の「原料原産地表示」方法
「表示対象」は国内で製造、又は加工されたすべての加工食品です。(ただし外食やお店で調理してその場で販売される食品、輸入品は対象外となっています)
「表示内容」はパッケージの原材料名の欄に重量で1番重い原材料の国名がその原材料名の後ろに括弧書きで記載されます。
その原材料が生鮮食品の場合、産地の国名が(○○産)のように記載され、原材料が加工食品の場合は、その製造国が(○○製造)のように記載されます。
それでは砂糖の「原料原産地表示」方法は?
砂糖は『又は表示』と呼ばれる方法で記載されます。
まず、原材料の原産地が2か国以上の場合は、使用した重量の順に『 、』でつなげて国名が表示されます。(例:豚肉(アメリカ産、カナダ産))
そして、「原産地が2か国以上の場合でその重量の順番が入れ替わるとき」や「その内の1カ国のみの使用になるとき」など「 、」でつなげた表示が困難な場合に『又は表示』と呼ばれる表示方法が使われます。(例:原料糖(タイ製造又はオーストラリア製造))
砂糖はまさにこの表示方法で記載されています。
この時の記載の順番は過去の使用実績などに基づいて表示され、そのことも欄外に記載されます。(例:「原料糖の製造地は2020年度の使用実績によるものです。」)
砂糖の原料の生産国と日本の輸入先
サトウキビの生育地近くで粗く精製されたものなどを原料糖といい、それらを原料として砂糖は生産されますが、日本では外国産が約6割、国内産が約4割です。
世界で原料糖を多く生産し輸出が多いのは、南半球のブラジルやオーストラリア、南アフリカ、インドネシア、そして北半球ではエジプトやインド、タイやメキシコなどです。
日本の輸入先で多いのは地理的に近い、オーストラリアやタイからです。
このところタイ産からオーストラリア産へと輸入先が移ってきています。
2012年はタイ産59%、オーストラリア産33%でしたが、2016年ではオーストラリア産53%、タイ産47%、そして近年では、さらにオーストラリア産が増えています。
砂糖は国際的な相場商品、安定調達に
砂糖は世界各地の天候やその国々の政策、戦争その他さまざまな要因により収穫量や消費量が変わり、日々価格が変動する国際的な相場商品となっています。
そのため安定的に、かつ安価に国内へ供給するため輸入先が変わる頻度が高いのです。
そのような理由もあって、砂糖の原料原産地表示の方法は少し特殊な『又は表示』方法がとられています。
今回は砂糖のちょっと変わった「原料原産地表示」についてご説明いたしました。
砂糖はサトウキビやテンサイの搾り汁を原料としますが、不純物を丁寧にろ過し、さらにショ糖分を結晶させることで純度を高めて作られるため、原産地の違いは、ほぼないと言えます。
でも時にはパッケージに記載されている、遠いオーストラリアやタイのサトウキビ畑を想像しながら砂糖や甘いスイーツを食べてみてはいかがでしょうか。
ゆったりした気持ちになれるかもしれませんね。
※「原料原産地表示」の制度は2017年9月より始まりましたが、2022年3月まで食品関連事業者が準備をする猶予期間が設けられていました。
参考資料
「消費者庁ホームページ >加工食品の原料原産地表示制度に関する情報 >消費者向けQ&A」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/qa/