α-サイクロデキストリンで持久力が向上!

2023.03.27 知識情報

α-サイクロデキストリンで持久力が向上!

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慶応義塾大学などの研究により、環状オリゴ糖の一種α-サイクロデキストリンの摂取が、ある腸内細菌を増やし、その結果、持久運動のタイムの短縮や疲労感の低減につながることが明らかになりました。


運動能力まで腸内細菌の影響を受けています

ヒトの腸内には1000種40兆個の細菌が棲み着いていて、その細菌たちが構成する腸内フローラのバランスは、私たちの健康にさまざまな影響を与えることが分かっています。

腸内細菌を意識した食生活を心がけることで、消化・吸収・排泄といった腸自体の働きが高まるだけでなく、免疫力の向上や精神の安定など全身にわたるさまざまな効果があるといわれています。

今回はそれらに加えて、研究の結果、なんと持久運動のパフォーマンスという運動の能力にも腸内細菌が影響していることが分かりました。



慶応義塾大学らの実験

慶応義塾大学らの実験内容は、まず、青山学院大学陸上競技部の男子学生と一般男性の腸内フローラを調査したところ

1、ヒトの腸内細菌の一つである『Bacteroides uniformis(バクテロイデス ユニフォルミス)』が長距離走アスリート男性の腸内には一般男性と比べ多く生息する。
2、この菌が腸内に多く生息する人ほど走行タイムが早い。


そして、運動経験のある一般男性に『α-サイクロデキストリン』を摂取してもらい、菌数の変化と運動パフォーマンスを計測したところ

3、摂取8週間後で上記『Bacteroides uniformis(バクテロイデス ユニフォルミス)』の菌数が増加。
4、持久運動のタイムが摂取前に比べ10%短縮し、同じ時間を運動した後の疲労感も低減。

という結果になりました。

この持久運動のパフォーマンス向上のメカニズムは、この細菌によって腸内で産生される酢酸とプロピオン酸が、運動中の肝臓におけるグリコーゲン分解と糖新生を促進し、運動に必要なグルコースをより多く全身に供給でき、持久力が向上したと考えられています。

※プレスリリースは下からご確認いただけます。
ヒト腸内細菌の1種が持久運動パフォーマンスの向上に貢献 ―腸内フローラと運動能力の関係が明らかに―(2023 年 1 月 26 日)



腸内細菌『Bacteroides uniformis (バクテロイデス ユニフォルミス)』を活性化させた 『α-サイクロデキストリン』とは?

サイクロデキストリンは、1891年に自然界で発見されましたが、ブドウ糖分子が環状につながった環状オリゴ糖です。

ブドウ糖が6個環状につながったものを『α-サイクロデキストリン』と言います。

1980年代前半に日本で馬鈴薯やトウモロコシなどを原料として工業的な製造が開始され、主に食品添加物として利用されています。
サイクロデキストリンは、環状構造の内部に様々な物質を閉じ込めたり離したりする性質があり、わさびチューブの辛味の保持や、苦味成分のマスキング、消臭スプレーなどにも使われています。


コラム「α-サイクロデキストリンで持久力が向上!」内画像_消臭スプレー.jpg



詳しくは以前のコラム 『サイクロデキストリンってどんなもの?』を読んでみてくださいね。イラスト付きで説明しています。


今回の持久力向上をもたらした酢酸とプロピオン酸は、他の腸内細菌でも産生しますので、他の腸内細菌でも同様に持久力が上がるのか、それともこの菌がもつ他の要因も関係しているのか、まだ今後の研究を待たなければはっきりとはしませんが、とにかく、α-サイクロデキストリンでこの腸内細菌が増え、持久運動パフォーマンスが向上することが明らかになりました。


持久力向上を目指す方は、一度試されてみてはいかがでしょうか。



※ 本文中の「α-サイクロデキストリン」とプレスリリース内の「α-シクロデキストリン」は同じ物質です。読み方がいくつかあり、当社では「α-サイクロデキストリン」を採用しております。